光照寺×柏尾地区 進む高齢化 地域の今を見る 「開かれた寺」の役割とは | 戸塚区・泉区 | タウンニュース
光照寺×柏尾地区進む高齢化 地域の今を見る「開かれた寺」の役割とは

日本が直面する高齢社会の著しい進行。特に、高齢者の単身世帯の増加は、コミュニティが希薄化する中、孤独死を防ぐ対策や見守り活動の難しさなど、地域の課題に直結している。
本紙では、戸塚区上柏尾町で「地域に開かれたお寺」を目指す光照寺で、柏尾地区連合町内会の松下忠利会長、柏尾町内会の實本義則会長、上柏尾町内会の石井喜美子会長に、同寺の宮本龍太住職を交え、地域の高齢化に関する課題と寺が果たせる役割について、特別対談を行った(以下敬称略)。
――高齢化に対する取り組みは。
松下「スポーツや健康講座、防災訓練などの企画・実施です。会長を務める柏尾台自治会では、月の約半分が高齢者向けの企画になっています」
實本「柏尾町では毎月1回『柏尾ぶらり・サロン』を開きます。さまざまな方の講演の後、お酒を交えながら親睦を深める会で、他地域のご高齢の方なども訪れます」
石井「柏尾地区では、災害対策ネットワークを作っています。高齢者や赤ちゃんがいる世帯など、災害時に支援が必要な人と、支援できる人をあらかじめ把握しておくんです。隣近所ぐらいの距離であれば、顔もわかるため安心できます」
宮本「当寺では宗派を問わず、定期的に写経会や坐禅会などを通じて高齢者同士の交流を図っています」
――どのような課題を感じますか。
實本「町内会活動やイベントに参加する方は、皆さんお元気。一方で縁遠くなってしまっている方々も多くいることが一番の課題です」
松下「連合としては町内会・自治会の加入率が9割近い。しかし、高齢者の中で二極化しています。常に顔を合わせる方と、まったくお見かけしない方のどちらかになっている状況を改善しなくてはなりません」
石井「民生委員さんが月に一度高齢者のお宅を訪問しています。しかし、お一人暮らしの方が亡くなって、誰にも気づかれないという問題は今後あるかもしれません」
宮本「訃報の回覧・掲示も見なくなりました。コロナを経て家族葬が増えたことで、本当に限られた人しか、誰かが亡くなったことを知らない状況になってきています」
寺・町内会、変革の時
――高齢化が進む社会における寺の役割とは。
宮本「現代のお寺は、葬式や法事のイメージが強いと思います。いわゆる『葬式仏教』として認識されている方も多いのではないでしょうか」
松下「昔は家族や親戚のために一緒にお経を唱えたり、お盆には迎え火と送り火をしたり、仏教に関わる慣習が日常にありました。しかし現代は、お寺を見かけても入ってよいものか、正直迷ってしまいます」
宮本「本来お寺は、地域に開かれたものでなければなりません。気軽に立ち寄りお茶を楽しみながら、寺の者が高齢者のお話や悩み事に耳を傾ける。そんなコミュニティをつくることが、改めて現代のお寺の役割だと思います」
――これからの柏尾地区の在り方は。
石井「同じメンバーで町内会運営を続ければ、高齢化でいずれ消滅してしまう。若い世代にも参加してもらいつつ、組織の新陳代謝が必要です」
實本「町内会長としての役割はみんなを巻き込んでいくこと。町内会活動に参加できない人、しない人にどうアプローチするか考えていきます」
松下「次期ハートプラン策定が進む中で、各自治会・町内会の取り組みも見えてきました。今までやってきたことはもちろん続けますが、新しい活動も必要。自治会・町内会の仕組み自体を変えていく段階です」
宮本「私も町内会の一員。柏尾地区が高齢者をはじめ、誰もが住み良い場所になるよう、お手伝いをしていきます」