住職の法話 第29回 約仏・約生とは

浄土真宗における「約仏(やくぶつ)」と「約生(やくしょう)」は、阿弥陀仏の本願の働きを捉えるための重要な概念で、この二つの言葉を通じて、本願の対象やその意義を明らかにします。それぞれの意味とその教義的意義について整理すると、以下のように要約できます。

まず「約仏」とは、阿弥陀仏の本願が「仏」自身の側の働きとして捉えられることを指します。つまり、阿弥陀仏が自らの大悲によって立てられた本願が「仏の目的」として説明される場合の視点です。浄土真宗において阿弥陀仏は衆生を救済するために四十八願を発し、とりわけ第十八願(念仏往生の本願)を根本としています。「約仏」の考え方では、この本願が阿弥陀仏自身の慈悲と智慧を顕していることが強調されます。本願が成就され、その結果として衆生を念仏一つで救済する働きが生涯を貫いて機能している点が重要です。この視点からは、本願成就の確実性や絶対性が際立つ形で理解され、阿弥陀仏がどのような大悲心をもって存在するのかに焦点が当てられます。

一方で「約生」とは、本願の働きが「生(しょう=衆生)」の側から捉えられる見方を意味します。これは、本願が衆生を救済することを目的としたものであり、その救済は衆生自身に届いていくということを意識する概念です。この視点では、阿弥陀仏の本願が衆生に対しどのように具体的に影響を及ぼすのか、すなわち、迷いや煩悩に苦しむ衆生がどのようにして念仏による救済に預かるのかという点が重要になります。浄土真宗では「他力念仏」として、衆生が阿弥陀仏の働きにより救われることを中心に教えますが、それは「約生」の観点から見た本願の働きが確実であるからです。この見方を通じて、「我々のような煩悩深い者にも確実に救いが届く」という安心(信心)の働きが強調されます。

この二つの概念は表裏一体であり、本願を全面的に理解する上で重要です。「約仏」は本願の成就と阿弥陀仏の側の働きを示し、一方の「約生」はそれがどのように衆生にとって意味を持つのかを示しています。特に浄土真宗では、阿弥陀仏の本願が救いの根本原理として機能していることが教えの中心であり、「約仏」と「約生」の両面から本願の大いなる救いを理解することで、浄土真宗の信仰がより深まるとされています。

したがって、「約仏」という観点は阿弥陀仏の生成や本願の力を十全に認識することを目指し、「約生」という観点はその本願がいかに救済を保証するか、そして自分自身が如何に阿弥陀仏の救済に預かるのかという信仰的な問題へと接近していきます。このように、「約仏」と「約生」の考え方は、浄土真宗における本願の教えの奥深さを明らかにするための鍵となる概念です。

なんまんだぶ、なんまんだぶ、なんまんだぶ 合掌