住職の法話 第3回 ご法事は何のためにするのか?

みなさん、法事は何のためにするかご存知ですか。

そんなの当たり前だろ、先祖供養だよって、ほぼほぼの人が言いますね。確かにご先祖さまをお偲びして、またご先祖さまに感謝する事は大切なことです。

でも、浄土真宗では供養と言う言葉は教義上は存在しません。方便で供養と言う言葉を使うことはあっても浄土真宗の法事で故人や先祖を供養はしないのです。

何故かって、ちょっと考えてください。亡くなった方は1人残らず仏様です。仏=仏陀です。仏陀という人は100%の完全な悟りを得た人です。

そんな完璧な悟りを得た人を我々のような悟りを得ていない人間が供養するっておかしくないですか?

と言うか、おこがましいですよね。

なので浄土真宗では仏様を供養などしません、と言うか出来ません。

みなさんはお爺ちゃんの7回忌をやってあげようとか言いますよね、それ間違いです。

仏様はお浄土から、そろそろわしの七回忌じゃから集まりなさいとお招きをくださっています、でもそれは心の声ですから実際に耳には聞こえない、なので自らの意思で法事に参列してると思っているのです。

さて、では何のために仏様は法事にお招きくださるのでしょう。

その答えはすなわち、聞法のご縁をいただく為です。聞法とは、法とは仏様の教えですから、仏様の教えを聞くため。ということになります。

では、仏様の教えとは何か?

身近でかつ一番大事なのは、蓮如さんもおっしゃる「後生の一大事」ですね。つまり自分が死んだらどうなるの?

という事ですよ。

死んだら無に帰するやら、地獄に行くやら、畜生道に堕ちるやら、餓鬼道に堕ちるやら、修羅道に堕ちるやら。

不安だらけですね。

でも、ご安心ください。死んだら成仏します。そう仏様は教えてくださってます。

ところがどっこい、我々はそれを

素直に信じられない。ホンマでっかと思ってる。この疑いの心が煩悩ですよ。そして、仏様は100%完璧な悟りを得ていますから私達がそう言う煩悩をたくさん持ってる事をよくご存知なので、まずは49日忌、そして1周忌、3回忌、7回忌、13回忌、17回忌、23回忌、27回忌、33回忌、、、で終わりかと思ったら、50回忌、70回忌、100回忌って何度も何度もしつこくしつこく呼んでくださるのです。

親鸞聖人なんて750回忌終わって次は2061年に800回忌ですからね。まぁ、私ゃ生きてないけど。

とにかく仏様は根気よく私達が成仏出来るって事をみなさんの疑いの心が無くなるまで呼びかけてくれます。

何故そこまでして成仏を受け入れさせてくださるのか。なんの疑いの心もなく成仏を信じられれば、大変なご利益があるからです。

成仏を確信できれば死は怖くなくなるのですよ。地獄に行くやらと言う不安がなくなるから死の恐怖から解脱出来るのですよ。

そして、更にあの世が安心だと思えば、この世も安心なんですよ。

あの世が安心なら生きてるうちが花と言う考えを捨てて、いま頂いている命をしっかり地に足を付けて生き切ることができる、それがこの世の安心です。

つまりあの世も幸せ、この世も幸せ、ダブル幸せをもらえます。

仏様はそこに気づけよと、何度も呼びかけくださいます。

そう思ったら仏様に感謝のお念仏をせざるを得なくなるんですよ。

だからね、法事というのは仏様を供養するのじゃなくて、仏様から安心をいただく。皆さん一人一人のために仏様がご用意をしてくださるものなのです。合掌