令和7年8月の言葉

悲しみは
乗りこえるものではなく
寄りそい
つきあっていくもの
この言葉は、訪問診療医・尾崎容子氏の産経新聞「在宅善哉」コラムを参考にさせていただきました。私たちが人生で避けて通ることのできない「悲しみ」と、どう向き合っていくかについて静かに語りかけています。
・「悲しみは 乗りこえるものではなく」
多くの人が、悲しみを「乗りこえるべきもの」「早く忘れて前を向かなければいけないもの」と考えがちです。しかし、そう思えば思うほど、心は置き去りにされ、悲しみの中で自分を責めてしまうこともあるかもしれません。
この言葉は、そんな焦る私たちに「無理に越えようとしなくていいよ」と優しく声をかけてくれています。
・「寄りそい つきあっていくもの」
悲しみは、消そうとするのではなく、心のそばにそっと置いておくもの。まるで、深い森の中で雨をしのぐように、悲しみに身を寄せ、共に歩むことを学ぶのです。
それは苦しく、時には涙が止まらない日もあるでしょう。でも、そうやって静かに悲しみに寄りそっているうちに、やがて悲しみは「痛み」ではなく「大切な記憶」へと姿を変えていきます。
・仏教のまなざしとともに
仏教では、「すべてのものはうつろいゆく」と説きます。愛する人との別れや大切なものを失った悲しみも、そのままにしてはいけないわけではありません。ただ、その苦しみを「共にあるもの」として受けとめていくことで、人は少しずつ、穏やかな心を取り戻していけるのです。
・最後に
この言葉は、悲しみに暮れる人への励ましであると同時に、寄り添う私たち自身にも問いかけています。
「誰かの悲しみに、あなたはどう寄り添っていますか?」 「自分の悲しみに、ちゃんと寄り添えていますか?」
そんな問いとともに、深く味わいたいお言葉です。